私的録音補償金制度とは?

 平成5年6月1日から、私的録音に関する補償金制度が実施されています。この制度は著作権法の一部改正により新たに創設されたもので、従来自由かつ無償であった私的な録音について、権利者の被る経済的不利益を補償するため、デジタル方式の機器・記録媒体を用いて行う場合には、録音自体は自由としつつ、権利者(作曲家や作詞家などの著作権者、歌手や演奏家、俳優などの実演家、レコード製作者)に対して補償金を支払うこととするものです。

補償金制度創設の背景
 著作権の制限のひとつに私的複製がありますが、近年の録音機器の開発・普及に伴って、音楽などを録音して楽しむ方法が広範に定着し、著作物の有力な利用形態となり、本来著作権者等の受けるべき利益を害しているのではないか、との指摘がされるようになりました。これが私的録音問題です。特に、デジタル機器については、高品質の録音が可能であることから、権利者の利益に及ぼす影響が懸念されました。

 この私的録音問題に関し、国際的には、ドイツをはじめヨーロッパ諸国を中心に、権利者に対する一定の補償措置を講ずる国が増えており、アメリカにおいても、平成4年10月末にデジタル方式による録音について同様の制度が成立しています。

 我が国でも、この問題について、長年にわたり検討がなされてきましたが、平成3年12月、著作権審議会第10小委員会が、補償金制度導入を提言する報告書をまとめ公表しました。

 この報告書を受けて、文化庁において、制度導入のため必要な事項について更に検討を行った上で平成4年の第125回臨時国会に著作権法一部改正法案を提出し、全会一致で成立したものです。

私的録音補償金制度の概要
 この私的録音補償金制度は、権利者の権利行使の実効性と利用者の便宜に配慮して、次のような特色を有しています。

 第1に、著作権者等の権利者の保護の方法として、私的録音に関して補償金を受ける権利を認めたことです。

 第2は、この権利は、録音について単一の団体によってのみ行使できることとしていることです。

 第3は、補償金の支払方法の特例として、録音の機器・記憶媒体の購入時における一括の支払方法を認めるとともに、その場合にそれらの機器・記憶媒体の製造業者等に対し、権利者の団体への協力義務を課していることです。
  1. 私的録音に関する補償金請求権
    権利者には、デジタル方式の録音機器及び記録媒体(ディスク等)を用いて行われる私的な録音に関して、補償金を受ける権利が認められます。
    補償金の支払義務をデジタル方式によるものに限ったのは、デジタル方式によるものはアナログ方式によるものに比べ、高品質の録音が可能であり、また、複製を重ねても劣化がないこと、さらに再生・保存の点でも耐久性に優れていることから、権利者の被る不利益が大きいと考えられることなどが理由です。したがって、従来から一般に普及しているアナログ方式のものについては従来どおり無償です。

  2. 指定管理団体による権利行使
     補償金を受ける権利を個々に行使することは困難な面が多いことから、この権利については、文化庁長官が指定する権利者の団体(指定管理団体)があるときは、当該団体によってのみ行使することができるとされています。指定管理団体は、私的録音について複製権を有する著作権者、実演家及びレコード製作者の権利を代表することができる者によって構成され、著作権者と著作隣接権者の権利を合わせて集中管理する団体で、一つに限ることとされています。
     また、補償金の額は、指定管理団体が申請し、文化庁長官が著作権審議会に諮問した上 で認可することとされています。ただし、指定管理団体は申請に際し、デジタル機器又はディスク等のメーカー等の団体の意見を聞くことが義務付けられています。

  3. 機器・記録媒体の購入時の補償金の支払
     この補償金については、私的録音録画を行う者が支払うものですが、その手続きを簡便なものとするため、支払方法の特例として、デジタル機器又はディスク等のメーカー等の協力により、その購入時に販売価格に上乗せした形で支払われることとしています。
     メーカー等は、補償金相当額を機器等に上乗せして販売し、その機器等が利用者に購入された場合に当該額を指定管理団体に支払う義務を負います。
     なお、購入者が私的な録音をまったく行わなかった場合には、指定管理団体に対し、その旨を証明して補償金の返還を請求することができます。

  4. その他
    補償金は指定管理団体から権利者に分配されるものですが、補償金の二割に相当する額については、権利者全体の利益を図るため、著作権等の保護に関する事業等(いわゆる共通目的事業)のために用いなければならないとされています。


著作権Q&A
はじめに

近年、社会の情報化、国際化が急速に進展する中で、著作権に関する関心が高まってきています。それとともに、著作権法の概要、著作権制度の仕組みについて述べられた書物も、各方面から発行されるようになってきました。 著作権の全般にわたる専門家や実務家にはそのような解説書が便利と思われますが、専門家に限らず、著作権問題が私たちの身近なところで語られるようになっていることにも配慮する必要がありましょう。例えば、「著作権法の全体については、当面、知る必要はないが、今、○○に関連する著作権制度の考え方を知りたい。」「自分の職務上、どのように著作権が関わっているのかを学びたい。」といった、従来の解説書の切り口とは異なった観点からの、しかも、著作権問題に初めて直面した人のための解説書、入門書が求められているように思われます。

今後、ケーススタディ・シリーズとして、著作権問題を様々な切り口で整理し、それぞれの専門家の協力や文化庁の監修を得ながら、継続的に発行してまいりたいと考えています。本シリーズが、我が国における著作権思想の普及に資することを切に望みます。

Q 1 家庭内で行う音楽や放送に録音・録画に関して、補償金を支払うケースについて、その概要を教えてください。
Q 2 私的に録音・録画した複製物を人に売るわけではないのですが、それでも権利者の利益を害することになるのですか。
Q 3 補償金の支払いの対象は、どのような商品ですか。
Q 4 補償金は誰にどのような方法で支払うのですか。
Q 5 補償金の額はどのような手続きで決定されるのですか。
Q 6 私たちが支払った補償金はどのように分配されるのですか。
Q 7 私たちが支払った補償金は、権利者に分配されるほか、特別の目的の事業に支出されると聞きましたが、具体的に教えてください。
Q 8 デジタル方式の録音・録画機器には、録音・録画を制限する装置が組み込まれていますが、補償金を支払うことにより、それはなくなるのですか。
Q 9 私的録音・録画に当たって、権利者に対する補償措置を講じるのは日本だけですか。
Q10 外国の音楽や映画などを私的に録音・録画しても補償金を支払う必要があるのですか。
Q11 対象となる機器又は記録媒体を用いて私的録音・録画を行わない場合は、補償金を返還してもらえるのですか。
Q12 sarah(サーラ)及びSARVH(サーブ)は、どのような業務を行っているのですか。


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